下ノ廊下・水平歩道登山道情報【2017年10月】

黒部ダムから阿曽原温泉、欅平へと繋がる、全長約30kmの断崖絶壁のロングルート「下ノ廊下」。
黒部峡谷の核心部を、黒部川上流に沿って延々と延びる、このルート。雪深い秘境のこのルートは、毎年遅くまで残雪が消えず、整備が入れないことから、開通するのは例年9月下旬頃。
また11月に入ると凍結や積雪が始まることから、1年の中で通行可能なのは秋の 1 – 2 か月間ほどに限られる、まさに秘境のルート。

足元から谷底まで、100mもの落差がある箇所があったり、登山道の道幅が50cmほどしかない箇所があったり、エスケープルートや避難箇所などがないなど、技術面・体力面において高いモノを求められるルートでもあります。

2017年10月12日現在、全線においての開通宣言はされていませんが、登山道の最新情報をお伝えします。

黒部ダムから阿曽原温泉小屋までのルート状況については、ひとつ前の記事をご覧ください。
今回お伝えするのは、阿曽原温泉小屋から欅平までの間。水平歩道と呼ばれるルートです。
この水平歩道は、9月の段階で開通宣言がなされています。今年は、大雪と豪雨の影響で、整備もかなり大変だった模様。毎年、ありがとうございます。

こちらのルートは、阿曽原温泉小屋を出てすぐの登りと、欅平駅手前の急激な下り以外は、ほとんど同じ標高を保ったまま水平に続いています。
しかし、昨日に引き続き、いや昨日よりも高い断崖絶壁を延々と歩くのです。足元から、黒部川の水面まで、最大落差は数百mとも…!
黒部では怪我をしない(=怪我どころじゃ済まない)と言われているだけあって、この高度感は、絶えず緊張と恐怖を与えてくれます。

写真のように、岩壁をくりぬいて作られた登山道。
狭いところは、足元が70cmほどしかありません…!
丸太橋やワイヤーや針金(鎖場ならぬ、針金場!)なども多々あり、整備はされていますが、
狭さや、その狭さの上に突然飛び出してくる岩角、木の根などに注意しながらの歩行となります。
ザックがふと当たって、バランスでも崩したら、あっという間にごろごろ、ぽちゃん!
想像しただけでも震えます…!

ルートは、いくつもの沢を越えて続いていきます。
途中、雪崩や鉄砲水を避けるための堰堤やトンネルを通過していきます。
上の写真↑は、折尾谷の堰堤。この堰堤の中の通路を進みます。

また、志合谷には、長ーーいトンネルも掘られています。
このトンネルは、途中でカーブしているため、光が届きません。トンネルに入る前に、ヘッドライトの装着をしましょう。
私が通った時は、足元に少し水が溜まっていましたが、登山靴から浸水するほどではありませんでした。
大雨の後などは、けっこうな水量になることもあるようなので、ご注意を。

水平歩道、日電歩道から成る、下ノ廊下。長く、険しいルートです。
体力、技術に自信がない方は、難しいかも。
実際、転落事故は毎年起きていますし、
到着が遅くなった方を、小屋の方や他の登山者はたくさん心配しながら待っています。
場合によっては、救助隊や小屋番さんが、自分の身を危険に晒して救出に向かうことも。
どうか、気を引き締めて挑まれますように。

登山道の最新情報は、阿曽原温泉小屋さんのHPからご確認ください。

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